カラフル・バニー

知りたい背中

6限目が放課だってこともあり、いつもより授業が早く終わった。

笑い声が木霊する廊下の中から一際大きく聞こえた声があった。


「ねぇ今日、黒沢君来てたんでしょ?」

「え!?全然気づかなかった」

「そりゃそうだよ。ずっと屋上にいたんだもん」

「でもさ、顔はかっこいいのに近寄りづらいイメージあるよね。だってホラ黒沢君笑わないじゃん」

「あー、確かに。見たことない」


特別な優越感がこみ上げてくるのを感じた。
渚は悪ぶってるだけであって意外といい奴なのかもしれない。


「お、浬子!久しぶり」


突然響く声。心臓は爆発する寸前。

声の主はあたしの幼なじみの『イチ』こと
壱原圭によるものだった。






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