カラフル・バニー
「いいよ。何時?」

「10時までに」

「じゃ帰ったらすぐ行く」

「分かった」


渚の態度があたしに対したのと、イチの対したのじゃ、あからさまに違うのが分かる。

イチはなんだかんだ言ったって、誰にでも優しい。渚が心を許すのも分かる気がする。


「渚はいい奴だよな」


渚の姿が見えなくなったあと、イチが唐突に口を開いた。


「え?」

「浬子もそう思わねぇ?」

「あー…うん。でも、あたしイチみたいに渚のことまだよく知らないし」

「何?さっきの会話で俺に妬いたわけ?渚愛、深ぇなー」


イチは本当に意味が分からない。


「違うよ」
< 19 / 150 >

この作品をシェア

pagetop