カラフル・バニー
時は流れ、もう9時半を過ぎた。


「じゃあもう俺ら帰るわ。また明日な。渚」

「おう。てか、そこのデカいの!修理代よこせ」

「お前に払う金など一銭もない」


そう言ってさっちゃんは足早にその場から立ち去った。


「あの女…」

「落ち着け、渚。俺は、毎日あれに振り回されている」


イチの苦労は本当にとんでもないものだと
あたしも思う。


「じゃあ早智子には俺からも言っとく。じゃあな、渚」

「ん」

「おやすみー!明日も馬鹿やってね」

「早く行け。クソ女」


黒い空に黒い男。その漆黒が少しずつ変わり始めている。


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