カラフル・バニー
「そしたら先輩…笑って『やだぁ。俺が浬子のこと、嫌うわけないじゃん。いやぁ、いい後輩を持った』って言って、過ぎ去っていったんだよ」


渚が目を虚ろにさせる。それに続くようにイチが言った。


「…殺してやりてーよな。そう言う鈍感」

「うん…本当にね。あの一瞬に人がどれだけ神経使うか、分かってないよね」

「私も、さすがにイラッっとしたな」


あたしの過去のことを全部、話し終えるころにはあたしの心の中の曇りが消えていた。

外はもう薄暗くなっていてちょうど、帰り時だった。


「ねぇ、渚。渚は好きな子とかいないの?」


あたしは唐突に質問を投げ掛けた。





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