カラフル・バニー
そう言って、あたしはオレンジのうさぎを、渚に見せた。


「4人分、買ったの。あたしは渚に。さっちゃんはイチに」

「ふーん」

「お守りぐらいもってなよ。その性格じゃ、渚いつか刺されるよ」

「ったく…余計な世話やいてんじゃねぇよ。
…でも…まぁ、サンキュ」

「え」


顔を真っ赤にさせた渚は、そのまま屋上を後にした。その姿に、何も言えなくて、なんとなく渚らしくなくて…可愛かった。


「あたしも教室行かなきゃ」


虚しく取り残されたあたしに、チャイムの音が響き、さっちゃんの待つ教室へと、足を向かわせた。


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