カラフル・バニー
微妙なタイミングで、自己紹介をする目の前の女。

もしあたしが渚を好きだとでも言えば、きっと千沙ちゃんはあたしに自己紹介なんか、することもなく、敵視されたに違いない。


「ごめんね。本題に移っていい？」

「どうぞ」

「私ね、渚君が好きなの。だからね、浬子ちゃんに協力してもらいたいんだ」

「あのさ、なんであたしなんかに頼むの？物の例えだけど、もし、協力中にあたしが間違って渚を好きになったら、どうするの？」


少し意地悪なことを言ってみた。

予想通り、千沙ちゃんは目を丸くする。


「え…あ…それは、しょうがないんじゃ…ない…のかな」

「実際に起こったとしても、まだ本当にそんなことが言える？」

「…浬子ちゃんは、好きじゃないんだよね…？」

「今はね」


興味本位で渚に、近づいてほしくなんかない。だから、あえて鎌をかける。

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表紙・目次

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