カラフル・バニー
「ここ上るよ。渚」

足を掛けた瞬間、鉄板の軋む音がした。
この階段の上には今はもう使われていない
広くて古い屋上がある。

「あそこの屋上ね、昔から好きな場所だった
んだ。ちょっと錆びてるんだけどそこが
いいんだよね…って聞いてる?」

後ろには、いるはずの渚がいなっかった。


「アイツ…やりやがったな」


渚の姿は跡形もなく消えていて残っている
のは空しくもあたしだけ。

「バーカ。甘いんだよ」


そう…今頃アイツがあたしを面白おかしく
あざけ笑っているなんて、知るよしもなかった。


< 6 / 150 >

この作品をシェア

pagetop