カラフル・バニー
風が草を掻き分ける音が聞こえる。あたしの心臓は大きく鳴り響いて、うるさいぐらいだ。


「なぎ…」

「今、どうしても答えねーといけねぇような話かよ」

「え…?」

「悪ぃ。俺、用思い出したから帰るわ」


すくっと床と垂直になるように、立った渚。今まで見てきた中で、1番真剣で、遠くを見ているような…そんな青い綺麗な目をしていた。


「お前、帰らねーの?」


突然の声。近くだったとはいえ、少し驚く。


「あ、い、今帰るよ!」

「答えなかった代わりにつったらあれだけど、送ってってやるよ」

「え…?渚、用は?」

「大したモンじゃねーから心配すんな」
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