カラフル・バニー
「え…ちょっと待って…」

「渚はお前を好きだということを、お前に悟られたくなかったんだよ」


まさか…そんなこと、あるはずないじゃない。


「また…ご冗談を」

「アイツもひねくれてるからな。だから、正反対なんて言ったんじゃないかい?」

「ち…違う…」

「何が違うんだよ。お前も好きなんだろう?お前はその気持ちを、過去と比べて無理矢理押し込めているだけ」

「違う…!渚はあたしのことなんか、好きじゃない!」


きっぱりとそう言ったのとは、裏腹にどこかでそうあったらいいなという、気持ちも入り混じる。

あたしの心は、複雑に散らばっていて、整理が出来ない状態になっていた。


「…素直になれよ」


気づけば頬に、涙が伝う。しょっぱくて切ない、今のあたしの心のような味がした。
< 78 / 150 >

この作品をシェア

pagetop