カラフル・バニー

突然イチの声が聞こえた。あたしとさっちゃんは、目線の先を変える。


「アイツが普段、お前に見せてる笑顔は、お前以外まだ誰も見てねーんだよ」

「え…」

「要するに、浬子は特別だっつーこと。分かる？」

「つるっぱげは、浬子に妬いてるだけだろ？」

「な…っ違ぇっての」


イチが顔を赤くした。でもすぐに正常に戻り、口の端をにっと上げ、笑窪を出す。


「麗しき男の愛か…浬子、負けるんじゃないぞ」


さっちゃんが、難しい顔をしながら解説をする。


「いつからそうなったんだよ！」


いつも通りのイチの突っ込み。何故だかそれが、おかしくて笑えてくる。