カラフル・バニー
「俺、ちょっと割り込んで来…」

「いいよ…っ!」

「は?」

「そこまで、しなくていい」


確かにあたしだって、じっとなんかしてられない。だけど、今イチが行ってしまうことで、確実に何かが崩れ落ちると思った。

当然、行動を止められたイチは、不機嫌で…


「なんでだよ。お前は見ててイラッとしねーのかよ」


感情的なのが、見るからに表れていた。


「おい、浬子!」

「するよ。今、自分でもあからさまに分かるぐらい、すっげー妬いてるよ」


この時…実感した。あたし、渚が好きだ。


「…だったら、なおさら行くべきなんじゃねーの?」

「…タイミングが違うの。心の中で、『まだ行くな』って言ってるの」
< 83 / 150 >

この作品をシェア

pagetop