カラフル・バニー
集会が始まった。聞き慣れた先生の声が響く。


「えーこれより肝試しを実施しようと思う。ペアはさっきバスで隣になった、2人組。暗いからな。くれぐれも怪我をしないように!」

「では解散!!」


先生の声と、委員長の声が合図となり一斉に散る。渚は寒かったのか襟にファーのついたナイロンパーカーを着ていた。


「ごめん、渚。このジャケット返そうか?」

「いい。お前着るもんねーんだろ?」

「うん…暑いのかと思って、半袖しか持ってきてない…」

「だから馬鹿だっつーんだよ。この能無し女」


悔しいが当たっているので、何も言えないあたしの口。

そのせいか、しばらく草の掻き分ける音が続く。


「能無し…だけど…能無しじゃないもん」

「訳分かんねぇこと言ってんじゃねぇ」

「うぅ…すごく悔しい…」


あたしの呟きをあっさりと無視し、足を進める渚。
< 95 / 150 >

この作品をシェア

pagetop