スリーズ・キーノート
「そこから、話出来るかな?」
……か細い声だった。
「少しだけ。」
「はい。」
男に強姦されたんだ、彼女の精神もギリギリだろう。そこまでして……。
ドア越しに、俺と彼女は口を開く。
「イチの事、知ってるよね。」
「はい。」
「私はイチと友達なんだ。」
「それも聞いてます。」
「私の噂は?」
「悪い事は沢山聞いてますけど。」
「そうだろうね。」
シノリは、淡々として、感情が無いように思えた。話をするなんて嫌だ、と感じる間もなく、彼女は続ける。