スリーズ・キーノート
バイトが深夜に終わり、帰路に着こうとした時、俺は変な奴らに絡まれた。お金貸してよ、ねえ、少しでいいから。……そういう奴らに。
大学に通い始めて日も短く、1人暮らしも始めたばかりだった俺は、頼るべき人なんていなかった。ついでにビビりだった。
三人に囲まれちゃ何も出来ないって。
そんな時に、ナジは現れた。
ほの暗い電灯しかない住宅街に響いた、乾いた音。
空き缶が俺の足元で転がっていた。三人組が驚いた隙に、俺は突如服の襟首を引っ張られる。
え?え?と混乱してるうちに、
『走れ!』
という声を浴びせられ、俺は逆らう事もなくただ走った。それしか出来なかった。