スリーズ・キーノート
35





成績は落ちていないのに、殴られるのは何故だろう。


父からの暴力は、日に日にひどくなっていった。
けれど、いつまでも黙って殴られる少年ではなくなっていた僕は、父から拳を受けると、同じ、いやそれ以上の威力を持つ拳を父に返した。
初めて、息子によって腰を床に付けられた時のあの時の父の眼。

立場が逆転した時だった。

信じられないと言っていたが、これが時間というものだ。
時間は僕を男に変え、父を老体にさせたのである。
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