スリーズ・キーノート
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陸はキューの妹に引き取られ、私はしばらく空と暮らしていた。と言っても、精神を病んでいた私に育児など出来るわけがなく、ほとんどお母さん任せだった。
夜中に何度も起きて泣いたり、ヒステリックな声を上げたり。被害妄想や、加害妄想。
あの頃の私ほど、不安定なものは無かったに違いない。

だがそれも、度重なる病院への通院や薬、時間が癒やしはじめ……一人で散歩ぐらいなら出来るまでに回復した。

空にも触れられるようになった。


しかしまた、私は自分勝手な事をしてしまう。女だから、というのは理由にならない。

理由にならない、恋をした。
最後の恋だった。
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