スリーズ・キーノート
39




彼の名前は、暁丘幕真。
静かで、人が嫌いとよく言っていた。
私は彼に迷惑を掛ける所から始まり、迷惑を掛けて終わった。

だけどその間に、沢山のものを貰った。

私が過去の行いのせいで異性に触れられないのを隠そうと、無理して手を繋ごうとしたのに、
「大丈夫、待ってるよ。無理しないで。」
と言ってくれたこと。

私の話に何度も頷いてくれたこと。

私の歩幅に合わせてくれたこと。

私を、こんな私を好きになってくれたこと。
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