スリーズ・キーノート
40




緊張しているイチは、どこかおかしい。私から眼を反らしたり、下を向いたり。
その理由は、すぐに知る事になったんだけれど。


イチは、私の部屋で二人きり、向かい合うとやっと口を開いた。


「お前に、謝らなきゃならない事があるんだ。」
「なに?」
「俺、俺……。」
じれったい。
「俺……お前と、ヨキの仲を悪くした。引き裂いた。……ごめん。本当に、ごめん……。」
「……よく……解らないよ……。」

震えた声で、イチは自分の罪を懺悔した。ヨキにひどい事を言って、追い詰めたと。私とヨキが離れてゆくのが耐えられなかったと……。
< 189 / 206 >

この作品をシェア

pagetop