スリーズ・キーノート
夕日から放たれる温かな光を浴びながら、進まない会話を続けようとする私達。
ああ、もう宗真が帰ってくる。夕飯の支度しなくちゃ。
「僕は君を、幸せにしたい。自由に生きさせてあげたいんだ。」
自由……。
その言葉を聞いた時、私の中で何かが暴れ、叫んだ。
「幸せっ?それはあなたにとっての幸せでしょう?私の幸せじゃない。さっき言ったじゃない、私の幸せは。お願いだから、……一人に、させて……。お願いだから……。」
もう幕真とは眼を合わせられない。また私は、ひどい事をした。でも、もうこれで最後。
「……解った。苦しい思いをさせて、ごめん。」
それが、幕真と交わした最後の言葉だった。