スリーズ・キーノート
空真陸・篇




「……あのう、宗真、くんですか。」
「?はあ、そうですけど。」
「よかった!別の人だったらどうしようかと!俺は陸です。」
「……どうも。」
「初めまして……葬式で初対面なんて、複雑な気持ちですね。」
「そっ、すねえ……。」
「宗真くんは、母さんと暮らしてた時間が長かったんですよね。」
「はい。」
「……楽しかった?」
「……普通でしたよ。普通。これといった思い出って聞かれても、特に何もなくて。たまに外食に行ったぐらいで……。十五で父に引き取られましたし。」
「そうですか……。立ち話もなんだし、ちょっと中に入りませんか。まだまだ火葬には時間が掛かるみたいだし。空も、親父も宗真くんに会いたいって言ってたんですよ。」
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