スリーズ・キーノート
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『イチはさ、いつも肝心な所で失敗するよ。逃げないよりはいいけどね。』


くそ暑い日だった。夏休みの宿題で、毎日数時間はつぶれ、それを忘れるように外へ飛び出す毎日。
決まって、ヨキとシノリに電話を掛けて誘うのだ。いつも2人は、いいよと言ってくれる。

今日もそんな日で、俺は宿題を部屋の床に投げ、財布一つ持って外に飛び出した。帽子なんか意味なさそうな暑さだけど、とりあえず被ってく。
ヨキとシノリとは、俺の家から近くのT字路で待ち合わせをしている。そこは俺達の通学路で、帰る時はいつもそこでヨキとシノリで別れる。そこから、俺は1人で家に帰る、ってわけ。
ヨキとシノリが住んでる家は近い。だからそれは当然の事。気にも止めなかった。
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