スリーズ・キーノート
俺と一緒にいる奴等はそんな底辺な人間ばっかだが、イチさんだけは明らかに違っていた。
言葉を選んで表現するなら、狼の群れに入った羊。
ざっくばらんに言うなら、優等生が頑張ってグレてる感じ。
変に曲がった所が無いから、イチさんの周りには人が集まるんだろう。俺もその周りの人間の一人で、慕ってるわけじゃないが一緒に居ても嫌じゃない、とか言える相手。
俺に来たうざったいメールの内容をイチさんに伝えると、ちょっと疲れた顔で解った、と答えた。そして日に透ければ茶色に見える黒髪を揺らし、俺と仲間の前から消える。
イチさん、相当モテんだろうな。レイとか、絶対イチさんの事好きだろ。俺と仲良くなろうとしたのだってそういう下心からに違いない。女って超汚いな。自分をどう護っていくかしか考えてねえだろうし。