Sign.




またいつも通りの朝が来た。





冬の朝は嫌い。



寒すぎてなかなかおふとんから出られないんだもん。



目が覚めてしばらくふとんの中でもぞもぞと動き回ってたけど、覚悟を決めて毛布たちをひっぺがした。



「寒い寒い寒いっ!!」



パジャマの上に急いでカーディガンを羽織り、隣の母の寝室へ向かった。



ドアの前に立って耳を澄ますと、規則正しい寝息が微かに聞こえた。




――まだ寝てる。




それだけ確認すると、あまり音をたてないように静かに階段を降り、一枚だけ残っていた食パンを半分に割って食べた。



もう半分は元の袋に戻し、テーブルの上に置いておいた。



ママのぶん。



朝食(?)を終えたあたしはソファに座り、テレビをつけた。



コロコロとチャンネルを回して見るものの、おもしろい番組は無くて、ブツリと電源を切った。



そのとたん、自分以外誰もいないリビングはシーンと静まり返る。





…寂しい。





そんな気持ちがあたしの胸の奥でかすかに揺れた気がした。






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