Sign.
沈黙に耐え兼ねてあたしは足を交差してみたり首を回したりしてみる。
でもあたし達の上にのしかかった重い空気はまだどんよりとあたし達を包み込んでいた。
…気まずい。
話さなきゃ良かった。
ううん、ここに来るんじゃなかった。
目頭が熱くなり、涙が零れないよう口をきゅっと結ぶ。
やばい…泣きそ…っ。
「…俺は
そうゆう大人の事情?みたいなのよく分かんねぇけど
辛いんだろ?寂しいんだろ?
だったら泣くの我慢することねぇよ。泣いちまえ。」
その言葉を言ったのは、あの熱帯魚ことタクミだった。
タクミの方を見ると、俯いていて表情は分からない。
でもこれだけは分かる。
「…照れてる。」
耳、真っ赤。
「ばっ…照れてねえよ!お前こそさっきまで泣きそうな顔してじゃねえか!」
「あれは沈黙に耐えきれなかっただけだよ?もしかしてそれで泣けって言ったの?」
「…ッッ!?ば…っ」
ゆでだこみたいに真っ赤になったタクミに、さっきまでの涙はいつの間にか引っ込んでいた。
うちらのやりとりを黙って見ていた充君はそのあと大笑い仕出して。
それから三人、ジャングルジムの上でたわいない話をした。
―タクミ、あんたのことちょっぴり見直しちゃったよ。
あたしは今日、不器用なタクミの優しさの一部を垣間見たのかもしれない。