Sign.



ここにいるのが怖くなって、あたしは急いで支度して外に出た。



「早いじゃん。」



「うん…。」



「…何か顔色悪くね?」



「そんなことないよ。」



あの公園の時以来、タクミは何だか優しい。



同情…かな。



だとしたらそんなの嬉しくない。



虚しいだけ。









学校に着くと、タクミはあたしに職員室の場所をおおざっぱに教えると、足早に教室へ向かった。



…ついて来てくれてもいーじゃん。なんて思うのは図々しいかもしれない。




ガラガラ…




「失礼しまぁす。」



「あっ、長谷川さんおはよう。私のこと覚えてるかな?」



職員室に入ると、若い女の先生がニコニコと話し掛けてきた。



いかにも子供好きって感じ。



名前は確か…。



「頁(おおがい)チエ先生…ですよね。」



前に来た時も今みたいにニコニコと自己紹介された。



「覚えててくれたんだっ。嬉しい!」



本当に嬉しそうに屈託無く笑う。



まるで甘い甘いキャンディーみたいなひとだ。






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