Sign.
校門の前に突っ立って、キョロキョロと首を小刻みに動かすあたしの姿は、はたから見ればどんなに滑稽だろう。
通りすぎる子供達はあたしを不審者を見るかのような目で見つめていた。
仕方ないでしょ!
なんて赤面しながら心のなかで叫んで見るものの…。
その声が届くはずなく、相変わらずの痛いくらいの視線に耐え兼ねて、あたしは校門の端っこにしゃがみ込んだ。
これはこれで目立つんだろうけど。
真ん中に突っ立ってるよりマシ。
腕の中に顔を埋めて、通り過ぎていく足音を聞いていると、ある足音があたしの目の前で止まった。
腕の隙間から除くと、青と白のスニーカーが鈍く光っていた。
…このスニーカーは…。
「何してんだ、お前。」
やっぱりコイツか。
「道が分かんなくてうずくまってるの。悪い?熱帯魚さん。」
「なんだそれ。」
上から聞こえるため息混じりの声に、あたしは顔を上げてそいつの目を真っすぐ見つめた。
「家まで連れていきなさいよ…。タクミ。」
あたしの頬はきっとピンク色だっただろう。
ちゃんと名前を口にするのは初めてなんだもの。
しょうがないでしょ?
あたしの言葉に、タクミは一瞬目を見開くとすぐにプッと小さく笑って
「仕方ねえなぁ。連れていってやるよ、未来。」
気のせいかもしれないけど
タクミの頬もほんのりと桜色に染まっていた。