Sign.
あたしと、タクミと、ミツル。
あたしたちは本当に仲良くなって。
ミツルへの呼び方も、いつの間にか「充君」から「ミツル」になっていた。
たぶん世間では、あたしたちみたいな関係を"幼なじみ"って言うんだろう。
いや、正確にはまだそうじゃないか。あと何年かしたら…か。
あたし、引っ越してきたばかりだしね。
え?あたしが今何をしてるかって?
それは…
「ギブギブギブ!!」
腕に走る激痛に、涙目になりながら床をバンバンたたき付けるあたし。
そう、今、タクミと絶賛プロレスごっこ中。
女の子のやることじゃないよね。分かってるんだけども。
最初は口げんかだったのに段々エスカレートして
そして今あたしはタクミに最強の関節技、"腕ひしぎ"を決められていた。
もう痛いとかそんなレベルじゃないよ、息が止まるってか死ぬってか…腕がもげるかと思った。
「女の子に腕ひしぎ決めちゃあだめだろ~?」
ミツルがあたしの腕にベタベタと湿布を張りながら、ため息混じりに言った。
「そうよ!本っ当最低だねアンタは!!」
もう涙目…ってゆうか泣きながらタクミに向かって叫ぶ。
鼻水がぶら下がってようが関係ない。
マジで死ぬほど痛かったんだもの。