Sign.


そんなモヤモヤと心の中で葛藤していると、階段を上がってくる音が耳に届いた。



あ、この乱暴な足音。



タクミの足音だ。



足音はこの部屋にゆっくり近づいてくる。



ここはタクミの部屋。出てけって言われるのかな?



そしたらどうしよう。
謝るべき?


でも向こうが悪いんだし。



でもこんなにモヤモヤしてるのも…



あたしが百面相していると、ミツルはオロオロと落ち着かない。



ミツル、かなり心配してる。



…ミツルのためにも早く仲直りするべきだ。




…謝ろう。



意地はってごめんねって。




あたしは意を決してドアの前に立った。



―タクミが入ってきたらすぐに謝るんだ。



あいつが一言でも先に何か言ったら、あたしはきっとまた意地張って謝れない。






―ゆっくりとドアが開く。



ドキドキ…



…―今だっ謝れ!




「タクミ、ご「んなとこ突っ立ってんなあぶねえ。」



………………



な…っに?



人が謝ろうってときに…



「ちょっとタク「未来、ホラ牛乳プリン買ってきたぞ。これで許せよ。」




こいつまた人の言葉遮りやがって!!







…って…え?




「牛乳…プリン?」



「ん。」



タクミの右手には牛乳プリンが乗っていて、それをズイズイとあたしの顔に近づけてくる。



「いらねぇの?」



「いっ…いる…よ。」



状況がよく分からないまま、牛乳プリンとスプーンを受け取り、とりあえずベッドに座る。



さっきまでオロオロしてたミツルは何故かクスクスと笑って、タクミから牛乳プリンを受け取っている。








―…えーと?






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