Sign.




次の日になると、もうソファに母の姿はなかった。



テーブルの上のお弁当は、手付かずのまま。




…どこに行ったのかな




弱々しい母の背中を思い浮かべると、嫌な胸騒ぎがしだす。



「…ママっ…!」



居てもたってもいられなくなり、乱暴に玄関を開けると、目の前に母が立っていた。



一瞬目を見開いた母は、すぐにニコリと笑って、「昨日はごめんね未来。お菓子買ってきたから二人で挨拶周りいきましょ?」



紙袋をあたしの前に突き出しそう言う母の姿に、さっきまで胸を占拠していた不安が消えてゆく。



「…ママ…ママ…良か…っ…たぁ…」



安心感からボロボロと泣き出すあたしに母は優しく笑って、ハンカチで優しく涙を拭ってくれた。




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