Sign.
ピンポーン...
隣の家のインターホンが響く。
…緊張するなあ。
お隣り嫌な人だったらどうしよう…。
小さな不安にドキドキと胸が音をたて、自然とまばたきの回数が増えていく。
『はあい、どちらさま?』
インターホン越しに女の人の声が届く。
「昨日隣に越してきた長谷川です。ご挨拶に伺いました。」
『あらあ、わざわざ!今出ますね。』
すぐに目の前のドアが開き、中から優しそうな女性が顔を出した。
「こんにちはあ!わざわざ申し訳ないわねぇ。」
ニコニコと明るいその人の姿に、さっきまでの不安は姿を消していた。
「これからお世話になります。これ、つまらない物ですが。」
母がお菓子の箱を渡すとその人はニッコリ笑って「あら嬉しい!ここのお菓子好きなのよ。」と言った。