【短編】Happy Birthday
君を背中から柔らかく抱きしめて、ナイフを持つ華奢な手に僕の手を添え、そっと上から握り締める。
ゆっくりとナイフをケーキに沈め、ふたりでそれを切り分けていくと、君は僕を振り返るように見上げてくる。
その表情が可愛くて、薔薇色の頬に、瞼に、僕は何度もキスを落としてしまうんだ。
くすぐったいと幸せそうに笑う君。
その微笑を僕がずっと護っていきたいよ。
ねぇ、君は一つ大事な事を忘れているよね?
僕からの誕生日のプレゼントだよ。
まだ渡していないって事、すっかり忘れているみたいだ。
君を驚かせたいから、もう少しそのまま忘れていてくれるかな?