SAKURA
何で私の教室に来たんだろう。
特進科とは校舎が違うし、私たちの校舎に特別教室があるわけじゃない。
授業で通りかかったなんてことはあり得ない。
なら、何故?
メールも電話も返さなかったから、心配してきてくれたの?
でも、そんなの……
『やッ!!』
「吉川ッ!」
腕を引っ張られ、体がガクンと止まった。
どちらかと言うと色白でひ弱なイメージがあったから、こんな力があったとは驚きだ。
男の子なんだって、実感する。
「いい加減こっち向けって!」
『やだっ!
離してよ!』
それでも諦め悪く、手をふりほどこうとした。
今はだめ。
こんな顔見せられない。
*