SAKURA




自分でも何を言ったのかよくわからない。


それでも、想いをぶつけてみてわかったことがある。





私は、宙良クンに嫌われるのが怖かったんだ。




嘘を付かれたか付かれてないかじゃなくて。


それを許すか許さないかじゃなくて。


怒ってるか怒ってないかじゃなくて。





宙良クンに嫌われてるって思うのが苦しかったんだ。



宙良クンのことが好きだから。




例え宙良クンが宙良クンでなくても、私と一緒にいた時間は変えられないもの。



私に勉強を教えてくれたり、バス停まで毎日送ってくれたり、試合を見に来てくれたり…


私は、そんな宙良クンを好きになった。



名前の問題じゃない。



今目の前にいる、この人が好きなんだ。




無口なとこも、時々はにかんだ笑顔を見せてくれるとこも、ちょっと不器用なとこも、全部。




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