SAKURA



宙良クンは腕を降ろすと、目を瞑って言った。


「殴ってぃぃから。」




私が凄く怒っているんだと、思っているんだろう。


歯を食いしばって無防備に頬を差し出す宙良クンは、恐怖からか少しだけ震えていた。





ずるいよね。



あんなこと言われて、怒れるわけないのに。



今朝までは物凄く許せないって思ってたはずが、今は何だか……


宙良クンの付いた嘘が嬉しくも感じれてしまう。




"一緒にいたかった"


私たち、同じ気持ちだって思ってぃぃのかな?





目の前にある顔は、女の私から見ても綺麗。


外の部活の私とは違って色白だし、閉じたことで長い睫毛が強調されている。



こんなに綺麗なのに、力は強くて、腕も体つきも私とは全然違う。


男の子なんだもんね。




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