SAKURA
それから、昼休みや放課後、部活後など時間ができると、教科書を持って保健室に行くようになった。
必ず和也クンはそこで勉強していたし、めったに人が来ないから静かに勉強が出来た。
保健の先生は私が行く時間は職員室で事務の仕事をしているらしく、ほとんど会うことはない。
『ね、ここ教えてくれない?』
わからないことがあれば、嫌な顔一つせずに教えてくれる。
そのせいか、随分授業の内容が理解出来るようになってきていた。
「――ここに入れればぃぃんだよ。」
『さすがぁ!
和也クンが授業してくれたらぃぃのに…』
頬を膨らませて和也クンを見れば、"はいはい"と言って僅かに目尻を下げる。
"無口"、"無表情"が和也クンなのかと思ってたけど、会うにつれて少しずつだが硬い表情が崩れてきている。
そんな和也クンに親近感がわいてくるけど、少しだけ、気になることがあったりする。
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