SAKURA




こんなことは、よくあることだった。


女の人が保健室に来て、和也クンを誘惑すること。

でも、それには無反応で、凄く冷たい対応をすること。

その人達がいなくなれば、いつものように優しくなること。



和也クンは無表情でもかっこぃぃと思うし、モテないこともないと思う。

現に、いつも声掛けられるから。


なのに、女の人には無関心だし、女の子と普通に会話してるのを見たことがない。

いつも会うのは2人きりの保健室だから、教室では違うのかもしれないけどね。


"私だけ"なのかもしれないと思うと、ちょっぴり嬉しいと感じてしまう。




「何笑ってんの?」

再び教科書を読み始めた和也クンが、横目で私を見てくる。


最初に話した時や、他の女の人と話す時とは全く異なる、優しい眼差しで。



『何でもない。

ありがとね!』



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