SAKURA



「座って。」


入り口で固まっていた私を通り越し、消毒液を準備しながら椅子を指さす。

言われるがままに手当を受けるが、無言の時が流れる。



『か!ずやクンは、何でここに?』


緊張のため、言葉に力が入ってしまう。


「別に。」



和也クンのいつもの返事だけど…



話が続かないよぉー!




『夏休みもっ、勉強?

偉いね!』


「吉川は部活?」



え?




突然話題を振られたもんだから、頭がついていかない。



『あ?

え、うん。


来週、試合だから。』




「いつ?」



いつって…



『月曜日?』





「どこで?」



どこでって…



『市営のテニスコート場?』





「応援行く。」



応援行くって…





応援?




行く?




*
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