SAKURA



皆、和也クンを見ているんだよ?


学校で色んな人に言い寄られてるのは知ってる。

それは、校内限定でないことも。


わかってはいたことだったけれど、胸がギュッと締め付けられる。


私なんかが隣を歩くなんて、似合わないよね…


考え出してしまえば、全てが悪い方向に向かってしまう。


下を向き、徐々に歩くペースが遅くなる私を、和也クンが横目で見ながら怒っていたとは知らずに…



『吉川が可愛いすぎなんだよ。』




え?




可愛い…って?




予想も出来なかった言葉に、下を向いていた顔をパッと上げる。


小さな声は、誰の耳にも届かないと思っていたらしい。

目の合った和也クンは、"まさか、聞こえちゃった?"と苦笑いしている。




そんなわけない。


可愛くなんかない。



自分が1番よくわかってる。


でも、和也クンの口から言ってもらえるのが、こんなに嬉しいんだなぁって。


例えお世辞だったとしても。


*
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