SAKURA





「どぉかしたのか?」

『ひゃぁ!!』



考え事をしていたら、和也クンが戻ってきたことに気が付かなかった。


『びっくりしたぁ…』



深呼吸をして、驚いた心を落ち着かせる。


隣に腰掛けて勉強を始めた和也クンは、私が封筒や裏庭でのことを見てしまったことに気付いてもないんだろう。





『あっ…あの、ね?』





どんな時でも、今も、私が話し掛けたらきちんと向き合ってくれる。


真っ直ぐに目を見られて、何でも答えてくれた。



今日も、私の欲しい答えをくれる?





"あの封筒、どぉして和也クンが持ってるの?"



声に出そうとするけど、意気地なしの口が言うことを聞かない。




「どした?」




きっと、"俺のじゃないよ"って言ってくれるよね?



『あの…』


「ん?」




『やっぱぃぃや!


ごめん、何でもない!』



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