少女人形(短編集)
糸がぷっつりと切れたような瞬間を境に
目から大粒の涙が溢れ出て頬を伝う。

何故だろう、呼吸が出来ないように苦しい。
なのに息が荒くなるの。

頭がガンガンして何も考えられなくなり思考が停止する。
心臓はもう潰れそうだ。

ぐぐっ…
私は自分自身までもがその血で真っ赤に染まってゆく事など気にせず
彼の身体を起こして強く強く抱き締めた。

けれども感じたのは悲しいかな
どんどん失われて行く何かだったが
今、彼に触れていないと
兎に角彼が儚く消えて行ってしまいそうで怖かった。

完全に力を失った彼の腕がぶらりと私の腕からこぼれ落ちる。


(今の私には)



(彼がとてつもなく重すぎた)
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