記憶
片手に既にじゅっくりと思われるタオルを握りしめ、その巨体を器用にくねくねさせながら、オカマ言葉を吐き出す。
髪の毛は辛うじて七三に見えなくもない。
「あら、遅かったわね。
紹介するわ。あたしの専属マネージャー、東海林鉄貫」
紹介されたカマ…じゃなかった、テッカンさんは再び体をくねくねさせ、
「初めまして、鉄貫よ。
アタシの事は、『テッちゃん』か、『テッカちゃん』って呼んでね☆」
「は…はあ。赤坂社の志澤紗都樹です。よろしくおねがいします。あ、こっちは同僚の黒田幸子です」
壁側に座った幸子の事も紹介し、社交辞令として握手を求めた。
すると。
がしっ。
「ひっ!」
「サツキちゃんにサチコちゃんね!んもう、可愛いっ!」
ぶんぶんと何度も握った手を上下に振り、やっと離してくれた。
う…手が汗でびちゃびちゃ…。