中絶~僕は君を殺したい~
2-4 カフェの続き。






あきの顔は見れなかった。うつむいてカフェラテの中でおしあう氷達を見つめる。ガシャガシャとからだをぶつけあっている。




あれからすべてのものに命があるように思えてきた。




だから氷がとけてしまう様子をみるだけでまだ見ぬ子を思ってしまう。




しゅうきょうにはまった人みたいだ。




じぶんでも笑ってしまうくらいに未来をそうぞうしてしまう。




そのなかには家族があって。





あきがいて。





ぼくがいて。





子供がこけそうになるのを支えている。





悪くないか、と思えたのはいつからだろうか。





「だからスーツ買いにいこうと思う」





あきはとまどっていた。





「あいさつにいかなきゃならないだろ?」





泣いているあきを見て、ぼくは守ってやらなければならない、と思った。




この時のけつだんは今でもまちがえてないと思っている。





でもこうかいはしている。





何かをえらぶとどうしてもえらばなかった方が正しかったのではないか、と思ってしまう。きっとこれからもぼくはこうかいし続けるだろう。
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