中絶~僕は君を殺したい~
3‐2 さんふじんか




あれから何度目かの定期けんしんをうけた後に医者はもうそろそろおろせなくなりますよ、と言われた。




はい、とへんじをしたもののぼくは答えをきめかねていた。



病院の帰りに正直な気持ちをあきに言った。



カフェの机にはかんきつけいのスイーツがならべられていく。



子供が出来るとすっぱいものがほしくなるという話を思い出した。



「いつき…あのね…」



ぼくはおくびょうものだ。



スイーツをまだ見ているのだから。



「…結婚しなくてもいいんだ。イヤならわたし一人で育てるから」


「…イヤじゃない。」


「…そっか」



「…不安なんだ」



フォークでオレンジがむきだしになったケーキをくずした。




「不安なんだ。きゅうりょうも安いし、将来どうなるかもわからない。子供だってさ…ちゃんと育てられるか」


オレンジをフォークの裏でつぶした。



「仕事があれだから子供がしょうがいがあったらとかも考えちゃってさ。」




「…うん」




「あきのお父さんの話も最近じゃほんとうにそうだよな、って思ってきてさ。」



「…こうかいしてる?」



「…うん。しょうじきにいうと」



「…そっか」



どちらからともなくごめん、とつぶやいた。


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