中絶~僕は君を殺したい~
4‐3 さけぶ



そう遠くには行ってないはずだから、と手分けして近くを探すことにした。



ぼくは走った。



しせつが見えなくなった。



薬局の前で足を止めるとしばらく立ち尽くした。



じぶんが情けない。



すべてをちゅうとはんぱにくりかえしているだけだ。



仕事もろくに出来ないのにアルバイトもして…。




あきをやしなうお金もないのに避妊もしなくて…。



せきにんなんて考えたこともなかった。



ごめんな、とつぶやく。



ぼくは走り出した。



あてなどない。



タダシくんのことは数字を通してしかかいわをしていない。


あかねちゃんは肌のぬくもりしか知らない。



でもぼくは知っている。



タダシくんがハンバーグが好きなこと。


あかねちゃんがピーマンを食べられないこと。


ぼくは知ろうとしなかったのかもしれない。


なんでもめんどくさいと言ってにげていた。


ぼくは走った。



ごめんな、と言う代わりに二人の名前をさけんだ。



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