中絶~僕は君を殺したい~
5-7 きゅうけいは中庭にて




「藤田さんが結婚したときってどうだったんですか?」




「どうって言われてもな」





「その・・・うまくいえないんですけどケンカしたり、みょうにいらだったり、あいてをうたがったり」





「つまりケンカしたんだね」





うなずいた。




「きゅうげきにかんきょうが変わることでストレスがたまってしまう。それもしらずにたまるからじぶんでも何でかわからないんだよ。わからないからよけいにイライラする。」




「ストレスですか・・」




「気にすることはないよ。きみたちは若いんだからケンカくらいする。いつもならケンカしてもいつの間にか仲直りしていただろう?こんかいもきっとうまくいくよ。この時期だからビンカンになっているだけだよ。」




「そうですか。」




「そうだよ。だから電話してあやまっちゃえばいいんだよ。わるいことをしたらあやまる。たすかったらありがとう。あさおきたらおはよう。そういう何気ないことが大切なんだよ。」




「そんなもんですか?」




「じんせいってけっこうたんじゅんなんだよ。むずかしく考えるからうまくいかなくなる。もうすこし気楽にかまえたほうがいい。これからずっといっしょにいるんだからぶつかったりもするよ。これから何度もある。わくせいができるのと同じでしょうとつをくりかえして一つのモノを作っていけばいいんだ。」



「ありがとうございます」




「いやいいよ。それにしてもわかいっていいね。」



ハハハ、と藤田さんが笑うとぼくも楽になれたんだ。
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