中絶~僕は君を殺したい~
7-3 にがてなうそ






びょうしつのベッドの上。





あきの手ってこんなに細かったのかな。




にぎりしめる。




つめたくて。




ぼくの指先をあきの手のひらのふちにそって親指の先まですべらせる。





ううん、とあきのこえ。





にげたくなる。






「・・・いつき?」






目が合った。





ぼくはうなずいた。





「わたし・・・どうしたの?」





「薬の飲みすぎでたおれたよ。お父さんもお母さんもいる。今はいしからの説明を受けている。本当はぼくが受けるべきなんだけど・・・」





「お父さんガンコだからね」





ハハ、と力なく笑うあき。





めをふせてしまう。






「しばらくにゅういんして様子みるんだって」





「そう。しごとやすまないとね」





「そうだね。」





「こんなところにいていいの?しごとは?」






「大丈夫。」






「そう・・・最近、しごとじゅんちょうなの?」





「まぁ。色々まかせられて残業も増えてきた。」






「・・・」






「くすりさ・・・いつもらったんだ?」





「こないだのけんしんの時にもらったの。」





「そうか。あの日いけなくてごめんな。急なしごとでれんらくさえ出来なくて」




「いいよ。」





いいんだ、と目を閉じた。そのかおを見れずに自分の手にしせんを落としてしまう。




「はじめて飲んだから分量まちがえちゃった・・・」




「・・・そうか。」




あきはうそが苦手だ。




だからあきのうそはすぐにわかる。




でもぼくはきづかないふりをする。




ぼくもまたうそが苦手だった。




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