中絶~僕は君を殺したい~
7-4 でんわ





ゆうやから電話がかかってきた。





「あきちゃんに何かあった?きょうカフェにいったけどいなくてさ」





「まぁいろいろあってさ」





ぼくはことばをにごす。




「大丈夫なのか?」




「うん。」




「・・そうか」




「しっていたのか?くすりのこと」




「くすり?あぁ・・・知らなかったけど心配はしていた。最近ずっとようすがおかしかったからさ。」




しごとのきゅうけいにカフェに通っていた話をしてくれた。ゆうやはあきの様子がおかしいことに気付いていたみたいだ。それを心配していた。あきに口止めされていたこともあってぼくにはいわなかったみたいだ。



いつきに心配をかけたくないから、と言っていたそうだ。




それなのにぼくは・・・。




ぼくのことを話した。ゆうやには嘘をつかなかった。ゆうやは話をひととおり聞いてから、




「仕事がいそがしかったんだよ。うそをつくことはあまりよくはない。だけどほんとうのことをいうことが正しいとはかぎらない。ちひろせんぱいのこともていきけんしんをすっぽかしたことも仕事のせいだ。すくなくともあきちゃんの前ではそれで通さないといけないな。また落ちついたらはなせばいい。とにかくいまはだまっていよう」




電話が切れたあともぼくはどうすればいいか、わからないでいた。
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