中絶~僕は君を殺したい~
7-5 病院





「大丈夫だったみたいだね」





藤田さんがそう言うとふしぎと気が楽になった。





「ええ、まぁ。でもまだ安心は出来ません」





「そうだね。」




「せいしんあんていざいのかじょうせっしゅだと言うのですが、せいしんあんていざいっていうのは・・・その・・・」



「日本ではせいしんにいじょうがあるみたいな見方されるけれど欧米ではごくいっぱんてきなことなのだよ。サプリメントとかと同じ感じかな?ぼくも持っているし。きみも持っていたほうがいいよ。これから仕事をしていく上でひつようとなってくる。くすり、と言えばていこうがあるかもしれないけど、お酒と同じさ。分量さえまちがえなければ生きていく上でかかせないものになる」




「藤田さんもつかっているんですか?」





「この仕事をしていると全員もっているよ。あまり言わないけどね。やっぱり日本ではいんしょうがよくないから。」




「ほごしゃからですか?」




「それもある。かかわりあうほとんどの人はいやがると思うよ。麻薬だとかかくせいざいに近いとらえられ方するからね。同じくすりでもかぜぐすりのようなカテゴリーにはぞくされないとおもう。すくなくとも後10年くらいたたないと。」




胸ポケットからフリスクケースを取り出した。




ぼくはそれをうけとる。





「中に入っている。ひとつぶ飲めばだいたい大丈夫。ぼくらはたいかくが同じくらいだから問題ないはずだよ。」





「どのくらい飲めば問題になるんですか?」





「人によるだろうけど3つぶでも倒れるくらいにはならないだろうね。グイッと一気にかたむけて出すと問題はあるかな?そこまでたくさん飲むには勇気がいるけどね。」




「くすりを飲むことはこわいのですか?」




「こわいよ。すごくこわい。やっぱりぼくもていこうがないとは言わない。おどろくくらいすっきりするからこわいんだ。くすりにいぞんしてしまうんじゃないか、っていうきょうふもある。」




藤田さんはそういってくすりにいぞんしてしまった人の話を続けた。
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