中絶~僕は君を殺したい~
1‐5藤田さんとろうかにて



「近藤くん、おれっていうのやめてもらえる?」


藤田さんがそう言った。


どうしてですか?と聞く前に藤田さんは続ける。



「いやね…中田くんのお母さんから言われてるんだ」



「なか…た?」


「タダシくんだよ」


「それがなんでですか?」


「いやね…自分のことをおれ、っていうらしくてさ。いやいいんだけどさ。」



「つまりおれのマネをするからということですか」



あぁ…うん…とあいまいな返事をする。


藤田さんはいつも周りに気をつかいすぎている。


こうはいのおれ…じゃなかったぼくにも気をつかう。



「わかりました。ぼくでいいですか?」


「すまないね。たのむよ。しせつ内だけでいいからさ」


ニコッとわらった藤田さんは足早にろうかを急いだ。


めんどくさいな、と頭をかいてアクビをした。そのうち、こんなこともやめろ、といわれないか心配になった。
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