中絶~僕は君を殺したい~
8-5 眠りにつくまで





じょうきょうがめまぐるしく変化していく。




ぼくはポツン、と取り残されてしまった。



じぶんのせんたくに自信がない。



両親の待つろうかへ出た。



「どうしたんだ?あきはどうなった?」




両親は聞かされていない様子だった。




ぼくは何も話す気になれなかった。




「おい、どうしたんだ。」




むなぐらをつかまれた。怒鳴られ、何度もあきのことを聞かれた。




「あきは大丈夫です。」





ホッとした表情になった。手にこもる力がゆるくなっていく。




「でも子供は・・・」




「あきが無事ならいいんだ。ありがとう」




お礼を言われた。




ぼくは加害者なんだ。




ぼくは子供を殺してしまう。




そのけいやくしょにサインをした。



「すいません」



ぼくは謝った。だれにでもなく、ぼくはあやまりたかった。



機械のようになんどもあやまりたかった。



ほんとうは子供に



そして



あきにあやまりたかった。




ごめん、ぼくは何も出来ないんだ。



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